アーユルヴェーダで寒い冬を乗り切ろう!
アーユルヴェーダとは世界三大伝統医学の一つ。
ギリシャ・アラビアのユナニ医学、中国医学とならぶインドの伝統的医学です。
インドや仏教の思想では宇宙は5大元素(水・火・風・空・土)でできているとされています。
それらを2つの元素(かぶるものあり)組み合わせトリ・ドーシャと呼ばれる3つの要素に分けた理論がアーユルヴェーダの基本理論です。
ピッタ(火の性質)
カパ(水の性質)
ヴァータ(風の性質)
この3つの性質のバランスが取れていると健康であり、崩れると病気になると言われています。
アーユルヴェーダでは、風、火、水の3つの生命エネルギーのバランスでその人の体質が決まる、と考えます。このそれぞれの生命エネルギーのことを“ドーシャ”と呼びます。
あなたのいまのドーシャバランスと性質
一番数が多いのがあなたのドーシャ、ということです。
このドーシャバランスはそれぞれ皆違い、状況や季節などで大きく変わるのもよくあります。
それぞれのエネルギーについて解説していきたいと思ういます。
ヴァ―タ(風のエネルギー)
風のように機敏で快活移り気で中性的な繊細タイプ
【特徴】
・好奇心に満ち、頭の回転が早く話題も豊富な社交家
・流行にも敏感
・じっとしているのが苦手でそわそわした動作がクセの人もいる
・歯並びが悪く肌や髪が乾燥しがち
・突発的に不安になり緊張しやすいタイプ
外見
・高/低身長 ・痩せ型 ・乾燥肌/髪 ・鷲鼻 ・歯並びが悪い
・目は細めか小さめ ・よく動く ・ 爪がひび割れしやすい
性格
・想像力豊か ・束縛が嫌い ・衝動買いが多い ・トレンド好き ・おしゃべり
・行動力あり ・そそっかしく忘れっぽい
体質
・寒さに弱く冷え性・食が細く不安定
・精神状態によって食事を抜いたり、どか食いしたりする
・睡眠は浅く、寝付きが悪い・音に敏感・怪我をしても治りが早い
【トラブル傾向】
・冷え性 ・頭痛 ・髪の傷み ・抜け毛 ・耳鳴り ・貧血 ・首
・肩こり ・便秘・不眠 ・関節痛 ・ネガティブ ・疲れが取れない
・神経疾患(脳卒中、パーキンソン病など)
・循環器疾患(狭心症、高血圧、心筋梗塞)頑張りすぎてストレスを受けやすい
・物忘れが多くあちこちにカラダをぶつける
【対策】
凧の糸を手繰り寄せるように、安定を目指し、落ち着いて、ゆっくり温めることを
意識して下さい。
●おすすめの食べ物:
甘いもの、酸っぱいもの、塩味のあるもの◎
スープやシチューなど温かく栄養たっぷりな料理がおすすめ!
スパイスもたくさん使って、消化力アップや基礎体温上昇を目指しましょう!
●避けた方がいい食べ物:
ヴァータの特徴である軽く冷たいものは避けて下さい。
ナッツやオイルは良質なものをたっぷり食べて、消化力が弱いので生野菜は控えめに!
●おすすめの行動:
入浴
簡単にきこえるけれど、「温める」「リラックスする」の大切な2つが叶います!
適度な運動
散歩や軽いサイクリング程度がおすすめ!
規則正しい生活
生活リズムが狂うとヴァータは乱れやすくなります。
いつもと同じ時間に起きて、同じ時間に食べるようすると良いですよ!
オイルマッサージ
特に温性の効果が高いごま油でのマッサージが◎
リラックスし、体をいたわり、温めてあげて下さい。
ピッタ(火のエネルギー)
中肉中背で容姿端麗。美意識高いゴージャス派
【特徴】
・鋭い眼光で批判的・相手を打ち負かす強烈さ
・優れた知性と行動力で自己実現が高い
・リーダー気質
・頼ってくる人の面倒はとことん見るアネゴ肌。
外見
・中肉中背・スタイルが良く関節が柔らかい
・日焼けをしやすい・髪質は柔らかく細い
・若ハゲ、若白髪傾向 ・均衡が取れた顔
・鋭い目つき・ピンクの爪
・肌はキメが細かく、脂性肌の傾向。
性格
・リーダー気質で野心家
・集中力 ・知性 ・勇気 ・自信家 ・情熱的で、機転が利く
・優れた記憶力 ・競争を好む ・完全主義 ・毒舌 ・皮肉家 ・高級品を好む
体質
・暑がり ・丈夫 ・喉が渇きやすく、食欲旺盛 ・熟睡しやすく短時間睡眠
【トラブル傾向】
・口内炎、肌荒れ、湿疹、目の充血、痔など、体内に熱がたまり、血の熱が上がることで起きる
トラブルが多い
・発熱や炎症・顔の部分的な赤み・下痢・多汗・胃痛・胸焼け白髪・肝疾患・胃潰瘍
・アルコール中毒・皮膚病・胃、十二指腸潰瘍・肝、胆、脾疾患・心筋梗塞・精神的にはイライラ
・批判的・怒り・傲慢になりやすいタイプ・満足できない・楽しくない・見栄っ張り
・人の遅れが我慢できない
【対策】
暑がりで汗っかき、熱がこもりがちなのでクールダウンを心がけて。
頑張りすぎず、休むことを覚えるのも大切です。
● おすすめの食べ物:
甘いもの、苦いもの、渋いもの。
ウリやゴーヤ、キャベツなど苦味、渋み、甘みのあるものをたくさん食べるように。
クールダウンしてくれるミントやバジル、コリアンダーなどがおすすめ◎
●避けた方がいい食べ物:
ヴピッタの特徴である熱々のもの、刺激のあるもの、酸っぱいものは避けましょう。
アルコールもピッタを上げてしまうので気をつけて!
体に良いと言われているヨーグルトやお酢も、ピッタの人は少なめに。
肌荒れや胃痛がある時は特にNG!ニンニクやネギなど辛み、刺激のある野菜は避けて。
スパイスも体内の熱を高めるので、ニンニクや生姜は控えめに。
● おすすめの行動:
適度な休息
頑張りすぎてしまうのがピッタの特徴。
明日やるべきことも今日中に終わらせようとしたりしがちなので、きちんと休息をとって
一息つく習慣を!
カパ(水のエネルギー)
色白でふっくらとしたベビーフェイス。 愛情豊かで安定的
【特徴】
・行動も話し方もゆっくりで、愛情深いひと
・争いを嫌うあまりに我慢してしまい、肉体的にも精神的にも色々と溜め込んでしまうのも特徴
・放っておくとすぐに停滞してしまい、動くことを嫌がり変化を受け入れられないように
なってしまう。
外見
・体格がいい ・肌が厚く、ふくよか ・がっしりとした骨格 ・色白
・髪は太く多く、しっとり ・大きな口 ・ふっくらした唇 ・睫毛が長く丸顔
・大きな瞳 ・歯は大きく整っている
性格
・体力がある ・湿気に弱い ・食欲安定 ・ゆっくりとした食べ方 ・長く深い睡眠
・寝起きが悪く、一日眠いことも ・体重が増えやすく、脈はゆっくりで規則的
体質
・安定 ・思いやり ・のんびり ・忍耐強い ・動作や話し方もゆっくり
・新しいものや挑戦より現状のままを好む ・覚えるのに時間がかかるが忘れない
・愛情深く献身的、寛大さと穏やかさあり ・情に弱く争いごとを避ける
【トラブル傾向】
・ 冷え ・だるさ ・眠さ ・食欲減退 ・太る ・むくむ ・鼻炎 ・気管支疾患
・ 糖尿病 ・引きこもり ・ ウツ ・ 痰が多い ・ 鼻水、鼻づまり ・ 喘息
・ 腫瘤性疾患
・精神的には執着心、頑固、貪欲、大雑把。収集癖が強くものが捨てられない
・変化を嫌いチャレンジしようとなかなか思えない
【対処法】
執着せず、留まらず、心身ともに刺激のある日々を心がけて。
鼻うがいや乾布摩擦、いつもと違う道を歩くなど、外的にも内的にも常に刺激を与え
同じところに留まらないよう心がけましょう!
● おすすめの食べ物:
辛いもの、苦いもの、渋いもの。苦味と辛味のある野菜がおすすめ!
ナス、アスパラガス、苦瓜、ブロッコリー、キャベツ、人参、カリフラワー、セロリ、
コリアンダーなどをなるべく火を通して。スパイスを効かせたグリルサラダが特にGOOD◎
ジンジャー、唐辛子、コリアンダーなど、刺激をくれるスパイスはたっぷりと☆
●避けた方がいい食べ物:
カパの特徴である冷たいもの、重いものは避けましょう。
甘いもの、揚げ物、ヨーグルトなどの乳製品は少なめに。
乳製品や肉は消化が遅くなりがちなので、少量を少しずつ。ナッツも控えめに!
食べ過ぎや食後の昼寝も、カパには大敵!
● おすすめの行動:
6時までの起床
一日の中にもドーシャがあると言われています。
朝の6時から10時までは、カパの時間!6時以降に目覚めると
1日だるくなりがちになります…。
睡眠時間も6時間程度と短めでも大丈夫!早起きを心がけましょう。
軽めの食事
カパの場合は朝食は抜いても構いません。多めに摂るならお昼に!
夜もなるべく早い時間に、軽めを心がけましょう。
刺激を与える
朝日を浴びながらのランニング、乾布摩擦、鼻うがいなど◎
激しめの運動が向いています!
そしてなるべく冷やさないように心がけて下さいね。
人はこの3つのドーシャが必ず混ざっているものです。
「ピッタとカパ、同じくらい特徴ある!」という人は、今の悩みを見つけてみて
下さい。
胃痛や肌荒れに悩んでいるのなら、ピッタが強めに。
便秘や冷えが気になるのなら、カパが強めに出ている証拠。
それらを抑えるためには、それぞれの特徴の逆のことをすればOK!
アーユルヴェーダから見た冬の季節
冬の気候の特徴として挙げられるのは、空気が冷たく乾燥していることです。
そんなこの時期には、「ヴァータ」と呼ばれるエネルギーがたまりやすくなると
考えられています。アーユルヴェーダでは、冷え性はヴァータの異常と考えます。
ヴァータは「風」や「空」のエネルギーを表し、軽さ・乾燥・冷たさなどの性質を持ちます。
その為、冬にヴァータを増やすような生活習慣を続けていると体が冷えやすくなってしまうと
考えられているのです。
冷えによる血行不良では、肩こり・頭痛・イラつきなどの症状がみられることがあります。
冷え症の改善には、まずヴァータを整えることがとても重要になってきます。
秋から冬にかけて体調や気分に好ましくない変化を感じたときは、ヴァータと上手に
付き合うような過ごし方を心がけましょう。
生活にアーユルヴェーダを取り入れよう
アーユルヴェーダの知恵のなかには、気軽に日々の生活へ取り入れられるものもあります。
ここでは、冬におすすめのアーユルヴェーダ的な過ごし方をご紹介します。
まず、水分補給をするときは、白湯を飲むように心がけてみてください。
朝起きたら、1杯の白湯を飲みましょう。
こうして胃腸を温めることで消化力が高まると考えられている為、
体を内側から整えることに繋がります。
その反対に、冷たい食べ物や飲み物の摂りすぎにはお気をつけください。
冷たいサラダやジュースは、冬場に摂ると体を冷やしすぎてしまうことも…。
寒い時期は温野菜や温かいスープに置き換えるなど、ひと手間加えてみましょう!
更には、日常生活における過ごし方もドーシャのバランスを整えることもポイントです。
軽い・速い・動くといった性質を持つヴァータが過剰になるのを防ぐためにも、
落ち着いて休む時間を意識的にとることをおすすめします◎
朝の過ごし方
02:00~06:00/ヴァータ
06:00~10:00/カパ
早朝の2~6時は 「風」の性質を持つヴァータのエネルギーが高まる時間。
アーユルヴェーダでは、一日の中で最も神聖なエネルギーに満ちていて思考がクリアなヴァータの時間帯に起きることを勧めています。
6~10時はカパの時間で、この時間帯に目覚めるとカラダが重くなりやすいとされています。
朝目覚めが悪いと感じたら、熱めのシャワーを浴びる、ヨガやお散歩など軽くカラダを動かす
習慣をつくるなど、スッキリと一日をスタートさせる工夫をしましょう。
朝におすすめのアーユルヴェーダ*お白湯でデトックスを促す
アーユルヴェーダでは、朝は排泄に適した時間帯と考えます。
毒素の排出を促す浄化作用が高い飲み物と言われる「お白湯」を飲んでじんわりと胃腸を温め、
デトックスを促しましょう。
お白湯は、水を沸騰させて不純物を取り除いてつくります。
朝目覚めて、歯を磨き、舌もきれいにした後にゆっくりとすするように飲むことでカラダを
内側から活性化してくれます。
日中の過ごし方
10:00~14:00/ピッタ
14:00~18:00/ヴァータ
10~14時は「火」の性質を持つピッタのエネルギーが高まる時間帯。
活動的なエネルギーに満ち、アクティブに過ごせるときとされています。
生産的な活動に向いているので、仕事や勉強など、情熱を注げることに取り組みましょう。
また、最も消化力が高まる時間帯なので、ボリュームのあるランチはこの時間帯に済ませるのが
おすすめです◎
14時を過ぎると「風」の性質を持つヴァータの時間帯。
フットワークが軽く臨機応変に行動できる分、疲れやすく不安定になりやすいのだそうです。
ゆっくりお茶を飲む時間を作るなど、リラックスして過ごす工夫をしましょう!
日中におすすめのアーユルヴェーダ*しっかりエネルギーチャージ!
アーユルヴェーダでは、食事は「きちんと消化する」ことを重要視します。
消化しきれずに残った抹消化物は「アーマ」と呼ばれ、カラダのバランスを乱す毒素だと
考えられているのです。
消化に時間がかかるとされる肉や魚などのタンパク質は、消化力が高いお昼にいただきましょう。
ピッタのエネルギーが消化をスムーズにし、しっかり栄養チャージするのに役立ちます。
また、食事は「食べる瞑想」の時間。
テレビやスマホを見ながらの「ながら食べ」は控えて、感謝の気持ちを持ってじっくりと
味わいましょう。
夕方~夜の過ごし方
18:00~22:00/カパ
22:00~02:00/ピッタ
夕食の時間帯である18~22時は、「水」の性質を持つ カパのエネルギーが強い時間。
カラダがむくみやすく、太りやすくなるとされているので、夕食は消化に良い食事が
おすすめです。
夕食後はゆったりとしたエネルギーを持つカパの性質を活かして、リラックスして
過ごしましょう。
22~2時は代謝や消化などの働きを担うとされる「火」の性質を持つ ピッタの時間帯。
ピッタのエネルギーが心とカラダの回復をサポートし、明日の活力を養います。
その恩恵が受けられるように、なるべく早めに眠れるよう工夫してみてくださいね。
夕方~夜におすすめのアーユルヴェーダ*ハーブティーを飲んでリラックスする
ピッタの時間帯である22~2時に睡眠を取るには、リラックスしてスムーズな入眠を促すのが
大切です。
18~22時のカパの時間帯には、リラックスのサポートとして、カラダを温めてデトックスを
促す効果が期待できるハーブティーがおすすめ◎
カフェインレスなので寝る前に飲んでも安心です。
冷え性や便秘の改善に良いとされるルイボスティーや、カラダがぽかぽかとして消化促進に
良いとされるジンジャー、リフレッシュ効果が期待できるスペアミントなど、その日の気分で
香りや味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか?
「生命の科学」アーユルヴェーダは、ひとがより健康に、より幸せに生きるための
教えです。
アーユルヴェーダのベースである東洋医学は、ひとが本来の良い状態に戻ろうとする感性を磨き、スキルを高めることで心身を整えていく治療法でもあるのです。
カギとなるのは、アーユルヴェーダの基本となる3つの生命エネルギー「ドーシャ」。
ご紹介した3つのドーシャの性質を暮らしに活かして、より快適に過ごすヒントに
してみてくださいね。